我孫子市で不動産の売買を考えるとき、避けて通れないのが「ハザードマップ」の確認です。実は令和2年8月の法改正により、不動産取引の重要事項説明でハザードマップの説明が義務化されたことをご存知でしょうか。この記事では、我孫子市の水害・土砂災害リスクと、市が公表している「あびこハザードマップ」の中身を、不動産取引の視点も交えて整理してお伝えします。
結論:我孫子市は「北の利根川・南の手賀沼」に挟まれた地形
我孫子市は北側に利根川、南側に手賀沼・手賀川が流れる地形にあり、市内を東西に横断する国道356号・国道6号周辺の尾根がおおよその分水嶺になっています。尾根から北側は利根川へ、南側は手賀沼・手賀川へと排水される構造です。さらに、すり鉢状の窪地が市内に点在しており、大雨のたびに内水(下水道の排水能力を超えた雨水)による浸水が起きやすい地形的特徴を持っています(我孫子市公式サイト「防災情報・ハザードマップ」より)。
市内は大きく3つの水系エリアに分かれる
「あびこハザードマップ」では、我孫子地区・天王台と湖北(西部)地区・湖北(東部)と新木と布佐地区の3エリアに分けて基本マップが作成されています。お住まいの地区がどのエリアに属するかで、確認すべき水系(利根川か手賀沼・手賀川か)が変わってくる点は押さえておきたいところです。
「あびこハザードマップ」とは何か
我孫子市は令和7年2月に、従来の「洪水・浸水ハザードマップ」(平成27年9月作成)と「あびこ洪水避難情報ハザードマップ」(令和4年7月作成)の情報を統合し、風水害・地震などすべての自然災害に対応した「あびこハザードマップ」を新たに作成しました。自治会・自主防災組織を通じて各戸に配布されているほか、市役所市民安全課や各行政サービスセンターでも入手できます(我孫子市公式サイトより、目安として令和7年2月時点の情報です)。
基本マップ編・風水害編・地震編の3部構成
このハザードマップは大きく3部構成になっています。基本マップ編では緊急避難場所や指定避難所の位置を、風水害編では利根川・手賀沼・手賀川の洪水浸水想定や内水浸水実績を、地震編では揺れやすさ・液状化危険度・建物全壊率のマップを掲載しています。
令和6年度版で追加された情報
令和7年2月版では、千葉県が新たに指定した大津川・亀成川等の浸水想定区域図、土砂災害警戒区域の情報が追加されたほか、内水浸水実績図も最新の情報に更新されています(我孫子市公式サイトより)。

利根川の洪水ハザードマップで押さえておきたいポイント
利根川の洪水ハザードマップは、国土交通省が公表した想定最大規模降雨(平成29年7月20日公表)による浸水シミュレーションに基づいています。複数箇所で同時に堤防が決壊した場合を想定した、いわば「最悪ケース」の浸水範囲・浸水深を示したものです。
想定はあくまで最大規模のシミュレーション
我孫子市も注意喚起している通り、これは想定図であり、浸水が予測されていない区域でも実際には浸水する可能性があります。逆に言えば、ハザードマップ上で色が塗られていない=絶対安全ということでもない点は、物件を検討する際に知っておきたい前提です。
手賀沼・手賀川の洪水ハザードマップも別途公表
手賀沼・手賀川についても、国土交通省・千葉県のシミュレーション(平成29年6月30日公表)に基づく浸水想定区域図が「あびこハザードマップ」の18〜19ページ・24〜25ページに掲載されています。利根川とは別の水系として、南部エリアにお住まいの方は合わせて確認しておくとよいでしょう。
内水(浸水)ハザードマップ=下水道の排水能力を超えた浸水記録
洪水ハザードマップとは別に、我孫子市は「内水浸水実績図」も公表しています。これは平成15年度から令和元年度までに市内で実際に発生した内水浸水の区域を示したもので、地形分析やシミュレーションではなく「実績」である点が洪水ハザードマップとの大きな違いです。
アンダーパスなど内水が集中しやすい箇所に注意
内水(浸水)ハザードマップには、アンダーパスなど雨水が集中しやすい箇所の情報も記載されています。集中豪雨の際に道路が冠水しやすいポイントとして、車での移動時にも参考になる情報です。
土砂災害警戒区域は市内103箇所
我孫子市内には、千葉県が指定した土砂災害警戒区域が計103箇所(市をまたぐ1箇所を含む)あります(我孫子市公式サイト「土砂災害の危険箇所」、更新日2025年8月15日時点の情報)。丘陵地や斜面が近い物件を検討する際は、この区域に該当していないかどうかも確認しておきたいポイントです。
「ちば情報マップ」や「あびまっぷ」で個別確認ができる
具体的にどこが警戒区域に指定されているかは、千葉県の「ちば情報マップ」(防災情報→土砂災害警戒区域等)や、我孫子市の公開型GIS「あびまっぷ」で調べることができます。住所単位で確認できるため、購入や売却を検討している物件がある場合は事前にチェックしておくと安心です。
令和7年2月に緊急避難場所の指定が一部見直された
令和7年2月14日より、中峠亀田谷公園・電力中央研究所・我孫子第二小学校・湖北台東小学校・湖北中学校・気象台記念公園・布佐中学校の7施設について、土砂災害警戒区域に新たに指定されたことに伴い、「がけ崩れ」に対する緊急避難場所の指定が解除されています。ハザード情報は固定的なものではなく、区域指定の変化に応じて随時更新される点も知っておきたいところです。
地震ハザードマップは3種類のマップで構成
「あびこハザードマップ」の地震編には、揺れやすさマップ・液状化危険度マップ・建物全壊率マップの3種類が掲載されています。国土地理院の2万5千分の1土地条件図をもとに、昔の地形図や写真を使って市内の地盤を調査した「微地形区分図」を基礎データとして作成されたものです。
液状化危険度は地形によって差がある
手賀沼・手賀川沿いの低地や、かつての水田・湿地であったエリアは、一般的に液状化のリスクが相対的に高くなる傾向があります。あくまで目安ですが、揺れやすさと液状化危険度は別軸の指標なので、両方を確認しておくと地盤リスクをより立体的に把握できます。
指定緊急避難場所・指定避難所は市内37拠点
我孫子市では、我孫子北部・我孫子南部・天王台・湖北・新木・布佐の6つの地域対策支部に分けて、指定緊急避難場所・指定避難所を設定しています(我孫子市公式サイト「指定緊急避難場所・指定避難所・指定福祉避難所」、更新日2025年3月21日時点で37拠点)。
緊急避難場所と避難所は役割が違う
指定緊急避難場所は、災害発生直後に命を守るために一時的に避難する場所(学校の校庭や公園などの広いスペース)です。一方、指定避難所は家屋が被災して住めなくなった方が一定期間滞在し、宿泊や食料の提供を受ける場所を指します。災害対策基本法の改正により、この2つは明確に区別されているため、「近くの学校ならどこでもよい」わけではなく、災害の種類(洪水・がけ崩れ・地震・大規模な火事)ごとに対応可否が指定されている点に注意が必要です。
指定避難所の収容人数は消防庁基準で約2.3万人分
市内19の小中学校の指定避難所を合計すると、消防庁基準(1人あたり1.65平米)で約22,836人分の収容能力があります(我孫子市公式サイト「指定緊急避難場所・指定避難所・指定福祉避難所」より、収容可能面積37,693.9平米をもとに算出)。中央学院大学や県立我孫子高等学校などを含めた高校・大学等の避難所を加えると、合計で約29,000人分の収容能力となります。あくまで基準に基づく目安の数字ですが、避難所の規模感をつかむ参考になります。
指定福祉避難所は高齢者・障害者・乳幼児に配慮
一般の避難所では生活に支障が出やすい高齢者・障害者・妊産婦・乳幼児等のために、指定福祉避難所も別途設けられています。近隣センターや保育園、特別養護老人ホームなど市内30箇所が対象で、令和5年2月には「特別養護老人ホーム けやきの里」が新たに指定されました。
大雨時の避難行動の目安「タイムライン」
「あびこハザードマップ」では、大雨時に取るべき避難行動を時系列で整理した「タイムライン」の考え方も紹介されています。台風接近の数日前から、気象情報の入手、避難の準備、実際の避難行動へと段階的に進める考え方で、直前になって慌てないための備えとして参考になります。
避難情報の名称は「避難指示」に一本化されている
令和3年の災害対策基本法改正により、避難情報は「避難指示」に一本化されており、「避難勧告」という区分は廃止されています。市の広報や防災行政無線、緊急速報メールなどで発令される情報の意味を正しく理解しておくことが、安全な避難行動の第一歩になります。
宅地建物取引でハザードマップの説明が義務化されている
ここからは、不動産取引の実務に関わる話です。令和2年8月28日施行の宅地建物取引業法施行規則の一部改正により、宅地または建物の売買・賃貸の重要事項説明において、「水防法に基づき市町村が作成したハザードマップにおける対象物件の所在地」の説明が義務付けられました。
我孫子市で水防法に基づくハザードマップに該当するのは2種類
我孫子市が公表している資料のうち、水防法に基づくハザードマップとして重要事項説明の対象となるのは「洪水ハザードマップ(利根川)」(国土交通省公表・平成29年7月20日)と「洪水ハザードマップ(手賀川・手賀沼)」(国土交通省・千葉県公表・平成29年6月30日)の2つす。一方、内水浸水実績図は水防法第14条の2に基づく内水浸水想定区域の指定を受けていないため、法律上の重要事項説明義務の対象には含まれません(我孫子市公式サイト「宅地建物取引業者の方へ」より)。この違いは一般にはあまり知られていませんが、取引の場では重要な線引きです。
住所ごとの浸水深は「浸水ナビ」で個別に調べられる
利根川・手賀沼・手賀川の浸水想定区域について、具体的な住所ごとの浸水深を調べたい場合は、国土交通省の「地点別浸水シミュレーション検索システム」(通称:浸水ナビ)が利用できます。地図上で該当地点を選択すると、その地点に影響を与える想定破堤点や最大浸水深の目安を確認できます。市の窓口では個別回答ができないため、各自でこのシステムを使って確認する形になります。
売却を検討している方が知っておきたいこと
ハザードマップ上でリスクが示されている区域だからといって、必ずしも売却が不利になるとは限りません。浸水想定区域に立地する物件は全国に数多く存在し、正確な情報を開示したうえで適正に取引されています。むしろ、ハザードマップの内容を正しく把握し、購入検討者に対して誠実に説明できる状態を整えておくことが、スムーズな取引につながります。
地盤・浸水想定の情報は査定額の説明材料にもなる
不動産の査定額には、宅地建物取引業法第34条の2第2項に基づき、価額の根拠を明示する義務があります。ハザードマップの浸水想定区域や土砂災害警戒区域への該当有無は、この根拠説明の一部としても関係してくる情報です。我孫子市内での売却をご検討の際は、こうした地域特性も踏まえたうえで、根拠のある査定をご提案いたします。
まとめ:我孫子市の防災情報は「知っておく」だけで安心材料になる
我孫子市は利根川・手賀沼という2つの水系に囲まれた地形的特徴を持ちながら、「あびこハザードマップ」や「重ねるハザードマップ」など、住民が自分の地域のリスクを確認できる仕組みが整っています。土砂災害警戒区域は市内103箇所、指定避難所は37拠点と、規模感を把握しておくだけでも、いざというときの行動がスムーズになります。不動産の売買を検討する際も、ハザードマップの内容は重要事項説明で必ず触れられる情報ですので、早めに確認しておくことをおすすめします。
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よくある質問
Q1. 我孫子市でハザードマップ上のリスクが高い区域は売却できませんか?
A. いいえ、売却は可能です。浸水想定区域や土砂災害警戒区域に該当する物件は全国に多数あり、正確な情報を重要事項説明で開夺したうえで適正に取引されています。エリアの特性を踏まえた根拠あるご提案をいたしますので、まずはご相談ください。
Q2. 「あびこハザードマップ」はどこで入手できますか?
A. 市役所市民安全課、市民課、各行政サービスセンターで配布されています。また我孫子市公式サイトからPDF形式でも閲覧・ダウンロードが可能です(目安として令和7年2月作成版が最新、令和7年5月時点で更新情報あり)。
Q3. 自宅の浸水深を具体的に知りたい場合はどうすればよいですか?
A. 国土交通省の「地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)」で、住所ごとの想定浸水深を調べることができます。市の窓口では個別の回答をしていないため、各自でシステムを利用して確認する必要があります。
Q4. 洪水ハザードマップと内水(浸水)ハザードマップは何が違いますか?
A. 洪水ハザードマップは利根川・手賀沼などの河川が氾濫した場合の浸水想定シミュレーションです。一方、内水(浸水)ハザードマップは、下水道の排水能力を超えた雨水による浸水の「実績」(平成15年度〜令和元年度)を示したもので、シミュレーションではありません。法律上の位置づけも異なり、内水は宅建業法上の重要事項説明の対象には含まれません。
Q5. 我孫子市内で土砂災害警戒区域はどのくらいありますか?
A. 市内には計103箇所(市をまたぐ1箇所を含む)の土砂災害警戒区域が指定されています(2025年8月15日更新時点)。具体的な場所は千葉県の「ちば情報マップ」や我孫子市の「あびまっぷ」で住所ごとに確認できます。
Q6. 不動産取引でハザードマップの説明はいつから義務になりましたか?
A. 令和2年8月28日施行の宅地建物取引業法施行規則の改正により、水防法に基づき市町村が作成したハザードマップにおける物件所在地の説明が、重要事項説明の必須項目に追加されました。
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