「地盤が弱いのでは」「液状化があると売れないのでは」――我孫子市で不動産の売却を考えるとき、こうした不安を感じる方は少なくありません。我孫子市は北の利根川、南の手賀沼・手賀川に挟まれた地形で、エリアによって地盤の性質が大きく異なります。この記事では、市が公表している「あびこハザードマップ」の液状化危険度マップの見方から、2011年の東日本大震災で実際に起きた被害、売却時の告知義務、地盤改良費用の目安まで、売る側の視点で整理します。
我孫子市の水害・土砂災害リスクや避難場所など、防災情報を幅広く確認したい方は我孫子市の防災・ハザードマップ|洪水・土砂災害リスク【2026】もあわせてご覧ください。
我孫子市の地形が生む液状化リスクの違い
液状化は、地震の強い揺れによって地中の砂と水分が分離し、地盤が一時的に液体のような状態になる現象です。発生しやすさは地盤の成り立ちに大きく左右されるため、まずは我孫子市の地形を押さえておきましょう。
下総台地と利根川・手賀沼沿いの低地
我孫子市の市街地は、我孫子・天王台・つくし野などが位置する「下総台地」と、利根川・手賀沼・手賀川沿いに広がる「低地」に大きく分かれます。台地は数万年単位の古い地層で構成されており、地盤としては比較的安定しています。一方、低地は河川の氾濫や堆積によってできた新しい地層のため、砂質で水分を多く含んだ軟弱な地盤になりやすい傾向があります。
低地の中でも「旧河道」「谷埋め盛土」は特に要注意
低地の中でも、かつて川が流れていた「旧河道」や、水田・湿地だった土地、台地の谷を土で埋めて造成した「谷埋め盛土」の宅地は、液状化のリスクが相対的に高くなる傾向があるとされています。分譲時の造成年代が古い住宅地では、こうした地形の履歴が現在の地表からはわかりにくいため、次章のハザードマップや古地図での確認が重要になります。

あびこハザードマップでみる液状化危険度マップの見方
我孫子市は令和7年2月に「あびこハザードマップ」を新たに作成し、従来の水害系マップと地震系マップを1冊に統合しました(我孫子市公式サイトより)。液状化に関する情報は、この中の「地震編」に収録されています。
液状化危険度マップは「地震編」の1項目
地震編は、揺れやすさマップ・液状化危険度マップ・建物全壊率マップの3種類で構成されています。市は国土地理院の2万5千分の1土地条件図に、過去の地形図や空中写真を重ねて「微地形区分図」を作成し、これを基礎データとして液状化の危険度を評価しています(我孫子市公式サイトより)。単なる推測ではなく、土地の成り立ちを調べたうえでの評価という点は押さえておきたいポイントです。
危険度は複数段階で色分け、簡易版はA3両面で入手可能
液状化危険度マップは、地区ごとに危険度が段階的に色分けされています。具体的な色分けの区分や自宅周辺の詳しい判定は、我孫子市公式サイトからダウンロードできる最新のPDF版、またはA3版の「あびこハザードマップ(簡易版)」の裏面(液状化危険度マップ・内水浸水実績図を掲載)で確認するのが確実です。簡易版は市役所市民安全課などで配布されており、不動産取引の際の参考資料としても使えます。
2011年東日本大震災で我孫子市に実際にあった液状化被害
「うちのエリアは大丈夫」と思う前に知っておきたいのが、我孫子市は東日本大震災で液状化の実被害が確認された自治体だという事実です。あびこハザードマップも、この震災の教訓を踏まえて改訂が重ねられています。
柴崎台の谷埋め盛土地区で噴砂・ブロック塀のひび割れ
日本地理学会の調査報告によると、我孫子市柴崎台の住宅地では、谷を埋めて造成した盛土地盤で液状化による被害が発生し、噴砂(地中の砂が地表に噴き出す現象)やコンクリートブロック塀のひび割れ、建物の傾きなどが確認されています。この地区の被害は、盛土の厚さと液状化被害の関係を検証する学術研究の対象にもなりました。
利根川沿いの北新田・中峠、隣接する取手市域でも噴砂を確認
利根川の堤防に近い我孫子市北新田・中峠の旧河道エリアや、隣接する取手市取手地区でも、震災時に噴砂が確認されています。一方でJR常磐線の橋脚は、周辺地盤が液状化した箇所があったものの、事前の地盤改良工事によって構造物自体への被害は免れたと報告されています。地盤改良の効果を裏づける実例といえるでしょう。
液状化と不動産売却の告知義務・重要事項説明
液状化リスクがある土地を売る際、法律上どこまで説明する義務があるのかは、正確に理解しておく必要があります。
法定の重要事項説明の対象は「水防法に基づくハザードマップ」
令和2年8月の宅地建物取引業法施行規則改正により、重要事項説明で必須となったのは「水防法に基づき市町村が作成したハザードマップにおける住宅の所在地」です。我孫子市の場合、これに該当するのは洪水ハザードマップ(利根川・手賀沼手賀川)で、内水浸水実績図はこの法定義務の対象には含まれません。
液状化危険度マップは法定対象外だが、告知義務は別問題
液状化危険度マップは水防法に基づくハザードマップではないため、上記の法定重要事項説明の対象そのものには含まれていません。ただし、これは「説明しなくてよい」という意味ではない点に注意が必要です。宅地建物取引業法では、取引の判断に重要な影響を及ぼす事実を故意に告げない行為が禁止されており、過去に地盤調査で液状化のおそれが指摘されていた、実際に地盤被害があったなど、売主として把握している事実があれば、買主に伝える必要があります。判断に迷う場合は、仲介を依頼する不動産会社や宅地建物取引士に早めに相談することをおすすめします。
液状化リスクがある土地でも売却はできる
液状化の可能性がある、あるいは過去に被害があったからといって、売却自体ができなくなるわけではありません。
仲介と買取で対応の考え方が変わる
仲介での売却では、液状化リスクを買主にどう説明し納得してもらうかが重要になり、地盤調査データの開示や価格への織り込みで交渉が長引くケースもあります。一方、買取であれば不動産会社が直接買い取るため、地盤リスクを踏まえたうえで価格を提示し、契約不適合責任を免除する形で早期に現金化できる点がメリットです。地盤改良や解体を前提に土地として活用する買主(不動産会社)であれば、個人の買主より液状化リスクへの許容度が高い傾向もあります。
地盤改良費用の目安は100万〜300万円程度
液状化対策としての地盤改良費用は、工法や地盤の状態にもよりますが、一般的に100万〜300万円程度が目安とされています。売却時には、この改良費用を価格交渉の材料として織り込むか、現況のまま「訳あり」として売却するかで手取り額が変わってきます。複数の売却方法を比較したうえで判断することが大切です。
売却前に自分でできる液状化リスクの確認方法
専門家に相談する前に、自分でもある程度の目安をつかんでおくと話がスムーズです。
「重ねるハザードマップ」で液状化以外のリスクも横断確認
国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」では、我孫子市内の洪水・土砂災害などのリスク情報を地図上に重ねて確認できます。あびこハザードマップと合わせて使うことで、より立体的にリスクを把握できます。
造成前の古地図・地盤調査データの有無を確認
売却予定地が過去に田んぼや沼地、谷だったかどうかは、国土地理院の古い地形図や、地元で長く営業している不動産会社への聞き取りで確認できることがあります。新築時やリフォーム時に地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)を行っていれば、その結果も重要な資料になります。手元に資料がない場合は、査定の際に不動産会社へ相談してみましょう。

まとめ
我孫子市は利根川・手賀沼に挟まれた地形上、低地エリアを中心に液状化リスクを抱えるエリアが存在し、2011年の震災では柴崎台や北新田・中峠で実際に被害も確認されています。液状化危険度マップ自体は法定の重要事項説明の対象ではありませんが、把握している事実は買主に伝える必要があり、売却方法によって対応の仕方も変わります。ハウスドゥ 取手戸頭では、地域の地盤特性を踏まえたうえで、仲介・買取どちらが向いているかも含めて無料査定でご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。
あわせて、崖地や斜面が近い物件を検討中の方は我孫子市の土砂災害警戒区域|建築制限と売却への影響【2026年】もご参照ください。
よくある質問
Q1. 我孫子市で液状化のリスクが高いのはどのエリアですか?
A. 一般的に、利根川・手賀沼・手賀川沿いの低地部や、かつて水田・湿地・谷であったエリアで相対的にリスクが高くなる傾向があります。ただし地点ごとに差があるため、あびこハザードマップの液状化危険度マップで住所単位の確認をおすすめします。
Q2. 液状化のハザードマップは重要事項説明で必ず説明されますか?
A. 法律上、重要事項説明で必須なのは水防法に基づくハザードマップ(我孫子市では洪水ハザードマップ)における物件所在地の説明です。液状化危険度マップはこの法定対象には含まれませんが、売主が把握している液状化に関する重要な事実は、別途告げる必要があります。
Q3. 我孫子市で実際に液状化の被害はあったのですか?
A. はい。2011年の東日本大震災では、柴崎台の谷埋め盛土地区や、利根川沿いの北新田・中峠エリアで、噴砂やブロック塀のひび割れなどの液状化被害が確認されています(日本地理学会の調査報告、我孫子市公式サイトより)。
Q4. 液状化リスクがある土地は売れなくなりますか?
A. 売却自体ができなくなるわけではありません。仲介では価格交渉や説明に時間がかかることがありますが、買取であれば不動産会社が地盤リスクを踏まえたうえで価格を提示し、契約不適合責任を負わない形で売却できる場合があります。
Q5. 地盤改良にはどのくらい費用がかかりますか?
A. 工法や地盤の状態によって幅がありますが、一般的な目安は100万〜300万円程度とされています。売却時にはこの費用を価格に織り込むか、現況のまま売るかを比較検討することが大切です。
Q6. 自分の家が液状化しやすい土地かどうか、どうやって調べればいいですか?
A. まずは我孫子市の「あびこハザードマップ」(地震編・液状化危険度マップ)や国の「重ねるハザードマップ」で確認しましょう。あわせて、過去の地盤調査結果や、その土地の造成前の履歴(古地図など)が分かれば、より具体的な判断材料になります。
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